【22】割れ窓理論
「割れ窓理論」とは、1枚の割られた窓ガラスをそのまま放置すると、その建物全体、ひいては街全体がいずれ荒廃してしまうというもので、アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリング博士が提唱した。主に、地域の防犯や職場の安全衛生等においてこの理論が応用され、実務に生かされている。
この「割れ窓理論」をもう少し抽象化してみると、最初はささいな出来事がやがて大きく取り返しのつかない惨事になるということになろう。われわれの身近な生活に当てはめてみると、いわゆる「習慣」にこれを見ることができる。どちらかといえば「悪い習慣」である。悪い習慣が続くと、いずれその習慣を矯正することが難しくなるということである。
極端な例になると、薬物中毒やギャンブル依存症などがあるが、そこまでいかなくとも、「暇になるとついスマホをいじってしまう」、「しばらく掃除をしないうちに部屋の後かたずけが面倒になった」、「健康に悪いとわかっているのに、ジャンクフードがやめられない」といったことなら、誰もが経験していることだろう。
われわれとして目指すべきことは、「割れ窓理論」の逆である。「逆割れ窓理論」とでもいうべきか。すなわち、「小さな習慣(努力)の積み重ねがやがて大きな成果を生む」ということである。ある意味、分かり切ったことなのだが、われわれ凡人には、これがなかなかできないのである。かの二宮尊徳(二宮金次郎)は「積小為大(せきしょういだい)」という言葉を残した。まさに、小さな努力の積み重ねがやがて大きな成果となることで、二宮はそれを見事に実践してみせた。二宮尊徳だけでなく、松下幸之助その他多くの功成り名を遂げた先人たちが口にした言葉であるから、この言葉の真偽は疑いようがない。
さあ、きょうから「逆割れ窓理論」を念頭に置き、まずは自分にできる「小さな習慣(努力)」をいくつも探してみよう。ぜひそれを紙に書き、実践してみよう。そして、毎日チェックしてほしい。