【3】アイデアのつくり方
手許にある辞書によれば、「アイデア」とは「ある良い効果を生みだす思いつき。着想。」と定義されている。
「それは素晴らしいアイデアだね」とか「あなたはいつもアイデアマンだね」などという使われ方をされているので、アイデアも何となく「知恵」と同義であるように思う。
アイデアのつくり方とはどのようなものなのかを知りたくて、その昔、『アイデアのつくり方』(ジェームズ・W・ヤング著 今井茂雄訳 竹内均解説 CCCメディアハウス)という本を読んでいたのだが、最近もう一度読み返してみた。
簡単に要点をまとめると、
1.アイデア作成の基礎には、次の2つの一般的原理がある。
①アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせであるという原理
②新しい組み合わせを作り出す才能は事物の関連性を見出す才能によって高められるという原理
2.アイデアの作られるすべての過程ないし方法は次のとおり。
①資料集め・・・当面の課題のための特殊資料とこの世の様々な出来事に関する一般的資料
②食物を咀嚼するように、集めた資料を丹念に咀嚼する。
③孵化段階。問題を無意識の心に移し、勝手に働くのに任せる。
④アイデアが実際に誕生する。
⑤有用なアイデアとするため、さらに具体化し、発展させる。
再読して、改めて深く心に刻まれたことは、「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせである」ということである。日頃、アイデアが浮かぶと言えば、「0」から「1」を生み出すこと、つまり世の中に「存在しないもの(こと)」から何かあるもの(あること)を見つけ出すことがイメージされがちである。
しかし、この本によれば、アイデアとは、「既存のもの」がベースになっているということである。若干、翻訳がスッキリしない部分もあるが、竹内均氏の解説がそこをうまく補充している。
本の帯に「60分で読めるけれど一生あなたを離さない本」というキャッチコピーがあるが、決して荒唐無稽な表現ではなかった。