【4】フェルミ推定とは
「フェルミ推定」という思考法がある。その昔、コンサルティングファームに属していた時(もう20年以上前のこと)に知ったものである。簡単に言うと、実際にはおよそ調査することが難しい各種の数値を常識として知っている数字や入手容易な数字を用いて短時間で概算することを言う。
たとえば、「東京都に信号機はいくつあるか」とか「大阪府にお坊さんは何人いるか」といった、直観的につかみどころのない数量を概算させることである。ノーベル賞物理学者のエンリコ・フェルミの得意とする思考法であったことから、命名されたそうである。
「フェルミ推定」はコンサルティングファームの採用試験でよく利用されているのであるが、そこで問われる問題は、「正解がない」問題、または正解はあるのだが出題者自身が正解を知らない問題である。つまり、「正解」を求めるものではなく、結論に至った考え方の「プロセス」を問う問題なのである。
経営コンサルタントが対峙する問題は一義的な正解のないものが圧倒的に多いため、「フェルミ推定」のような思考法を身につけているかどうかが経営コンサルタントの力量を左右する。