【10】マズロー 欲求の五段階説
「欲求の五段階説(欲求階層理論)」を提唱したのは心理学者のエイブラハム・マズローである。マズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」という仮定のもとに人間の欲求を次のような5段階に区分した。
人間の欲求は、生理的欲求(生存の欲求)、安全の欲求、所属と愛の欲求(帰属の欲求)、承認の欲求、自己実現の欲求へと、つまり、三角形の底辺から頂点に向かって、ひとつひとつ実現しながら、あがっていくものだとマズローはいう。
人間にとって、まずとにかく「生存すること」、次に「安全に暮らすこと」が最もベーシックな欲求であり、それらが実現できると、さらに、社会や集団に属していたいという「帰属」や、誰かに認められたいという「承認」の欲求に向かっていく。そして最後に、自身の能力やスキルを引出し、、限界に挑戦したい、「あるべき自分」になりたいという最高次の欲求に向うというのである。
マズローの説には異論も多いようだが、ひとまずこれを正しいものとして、「はじめて社会に出て働く」ということにあてはめてみると、最底辺(生理的欲求と安全の欲求)は、こうなる。
「何とかして仕事にありつきたい」
「とにかく、金を稼ぎたい」
「楽で安全な仕事がしたい」
しかし、マズローの考え方によれば、最底辺ではなく、当然、上を目指していくものとなる。すなわち、人間は仕事を通じて自己実現を目指さなければならないということが導かれる。くり返しになるが、やはり人間というのは、仕事を通じて、自身の能力やスキルを引出し、限界に挑戦したい、「あるべき自分」になりたいという最高次の欲求を充足していく必要がある。