【2】後悔先に立たず
還暦が目の前に来ている。少し前なら、もう定年である。今は自営業者だから定年はないが、サラリーマンになった同級生はそろそろ定年後のことで頭がいっぱいだそうだ。さすがに人生60年近くになると、いろんな出来事があったし、悲しいかな、この先もだいたい想像できてしまう。
人生を振り返るとやはり「後悔」することが多い。「後悔先に立たず」というやつである。あのときもっと勉強しておけばもっといい大学に入れた。もっと積極的な性格になれるように努力しておけばよかった。もっと人脈を広げておけばよかった、等々、数え上げたらキリがない。総じていえば、満足のいく幸せな人生であったことは否定しないが、それでも人間としての未熟さが自らの人生に「後悔」という文字を刻みつけてしまう。
「覆水盆に返らず」だから、いまさら何を後悔しても仕方がない。時間は戻ってこないのである。先賢の言葉にもあるように、人生前を向いていくことが大事だと自分に言い聞かせ、残された時間を有意義に過ごしていくことが重要である。
では、「有意義」とは何か? 現時点での答えは「世のため、人のため」だ。もちろん「偉人伝」になるようなことはできない。身の丈に合ったことしかできない。還暦直前の凡庸な人間にいったい何ができるのか、自分でも笑うしかないが、これまでできなかったこと、やらなかったことに挑戦し続けたいと思う。