自発的申出制度
公正取引委員会と中小企業庁は、親事業者約30,000名、下請事業者約600,000名に対して、毎年下請法の運用状況に関する調査を実施しています。調査は書面で実施され、一定の事項について親事業者及び下請事業者から報告を求めています。
こうした調査の目的は主に次の2つがあげられています。
① 書面調査に回答するなかで自ら下請法違反を覚知し、自主的に下請法遵守の措置を講じることを促進すること
② ①と相まって親事業者が下請法違反の事実を自発的に公正取引委員会に申出る機会を提供すること
過去の下請法違反の事例を見てみると、誰もが知っている大企業・有名企業が下請法に基づく勧告を受けていることに驚く一方で、中には勧告がなされる前に、下請法違反を行っている事業者が公正取引委員会に対して自発的に違反行為を申出る事案もあります。公正取引委員会では、次のような事由が認められる場合には、親事業者の法令遵守を促す観点から、勧告するまでの必要性はないものとして取り扱っています。
① 公正取引委員会が当該違反行為に係る調査に着手する前に、当該違反行為を自発的に申出ている。
② 当該違反行為をすでにとりやめている。
③ 当該違反行為によって下請事業者に与えた不利益を回復するために必要な措置(※)をすでに講じている。
※ 下請代金を減じていた当該事案においては、減じていた額の少なくとも過去1年間分を返還している。
④ 当該違反行為を今後行わないための再発防止策を講じることとしている。
⑤ 当該違反行為について公正取引委員会が行う調査及び指導に全面的に協力している。