コロナと下請取引

 新型コロナウイルスの猛威は経済に多大な影響を及ぼしています。飲食業だけでなく、ほとんどあらゆる業種が少なからぬ影響を受け、倒産に至ったケースも報告されています。親事業者でさえ、厳しい状況が続いていますので、なおさら、力の弱い下請事業者は発注取消、受領拒否、納品遅れ、支払遅延など、さまざまな不利益を受けることは想像に難くありません。個別のケースをみると、やむを得ないと思われる事例もあるのですが、同時に、コロナを免罪符とする下請法違反が続発していることも事実です。一種のモラルハザードが生じているといっても過言ではありません。

 そこで公正取引委員会と中小企業庁は連名で、「新型コロナウイルス感染症拡大に関連する下請取引Q&A」を作成し、これを公表しています。これによれば、やはりこのような厳しい環境下においても、下請法の考え方にブレはありません。コロナだからと言って、下請事業者が泣き寝入りをすることはないものの、一方で、そこでは、親事業者と下請事業者との緊密かつ十分な協議が求められていることも読み取れます。何よりも、このような緊急事態に対応するためにも、日頃からのコミュニケーションが重要であることは言うまでもありません。