優越的地位の濫用

通常、違法となる下請取引構造は親事業者が下請事業者に対する優越的な地位を利用(濫用)して、下請事業者に「不公正な取引方法」を迫ることによってもたらされています。下請事業者としては、親事業者の行為や措置が優越的地位の濫用に該当するかどうかを見極めるためにも、どのような親事業者の行為や措置が独占禁止法や下請法で禁じられているものであるかを知っておく必要があります。

独占禁止法第2条9項5項「不公正な取引方法」のひとつとしての優越的地位の濫について、次のとおり定めています。

(9)この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。

五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。