「下請いじめ」にあわないために

 昨今のビジネス社会では「コンプライアンス(法令遵守)」ということが声高に叫ばれ、多くの大手企業では「コンプライアンス経営」なるものを標ぼうしています。コンプライアンス違反は社会的な非難にさらされ、ひどい場合は会社の存続にさえ大きな影響を及ぼすからだと言われています。

 下請取引においても絶対にコンプライアンス違反は許されないはずですが、まだまだ「下請いじめ」は後を絶たないのが現状です。みなさまの多くが「下請けいじめ」を実感されていると思います。
 「下請」とは「対等ならざる外注関係」だと言われています。ちなみに手許の辞書によれば、「外注」とは、「(注文者が)自社で行う仕事の一部を外部の業者(請負者)に注文すること」とありますが、その際、注文者は必ず、「ある仕様」を伴って注文します。
 この「ある仕様」というのは、いわゆる「QCD」のこと、つまり、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)のことです。そして、「対等ならざる外注関係」というのは、QCDに関する要求が(請負者にとって)きわめて厳しいことを指します。注文者が、一方的に度を過ぎた高品質性能を求めたり、継続的なコストダウン要請、そして超が付くほどの短納期、これらはすべて請負者にとっては大変厳しい要求であり、経営資源の乏しい中小企業・個人事業者にとっては経営そのものに重篤な影響を及ぼすものです。

 しかし、これまでの下請取引というのは、何らかの事情や理由で、残念ながら、この「対等ならざる外注関係」のまま今日に至っています。こうした現状に対して、下請法や独占禁止法が一定のルールを定めているのですが、どうもこのルールは広く一般に受け入れられているものではないようです。それどころか、認知すらされていないと思わざるをえません。なぜなら、法律違反が一向に減らないからです。法律違反が減らない理由はさまざまでしょうが、ひとつの理由として、何よりも親事業者と下請業者のどちらもが下請法をよく知らないことがあげられると思います。もし、取引当事者双方がいま自社が直面している状況が下請法違反に該当するものであることを認識できていれば、下請事業者の経営に重篤な影響を及ぼしかねない取引を押し付けたり、不本意ながら受け入れてしまうこともなくなると思うのです。

 そこで、このサイトでは、ひとりでも多くのみなさんに下請法や下請を取り巻く環境を知っていただき、「下請けいじめ」をされることがないように、下請に関するさまざまな情報を発信し、みなさまのご支援機関としての役割を果たしていきたいと思います。過去に「下請いじめ」の被害にあった事業者のみなさまはもちろん、今後「下請けいじめ」にあわないようにしたい事業者のみなさまに向けて、少しでも有益な情報をお届けしていきたいと考えています。

 「下請けいじめ」を撲滅することによって、みなさまのお役に立てることができればと考えています。

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