「3条書面」とは何か

 下請法第3条によれば、下請事業者に発注する内容、下請代金の額、支払期日・方法などを決定した場合、親事業者は直ちに、これらの事項を書面にして下請事業者に交付する義務があります。実務上、この書面のことを「3条書面」といいます。下請取引には必須の書面になります。
 3条書面の様式はどのようなものでもかまわないのですが、公正取引委員会の規則で定められた事項(下記記載)を記載しなければならないことになっています。3条書面の交付義務違反があると親事業者(違反行為をした個人を含む)は50万円以下の罰金に処せられます。

一 親事業者及び下請事業者の商号,名称又は事業者別に付された番号,記号その他の符号であって親事業者及び下請事業者を識別できるもの
二 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託(以下「製造委託等」という。)をした日下請事業者の給付(役務提供委託の場合は,提供される役務。以下同じ。)の内容並びにその給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,下請事業者が委託を受けた役務を提供する期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては,当該期間))及び場所
三 下請事業者の給付の内容について検査をする場合は,その検査を完了する期日
四 下請代金の額及び支払期日
五 下請代金の全部又は一部の支払につき手形を交付する場合は,その手形の金額及び満期
六 下請代金の全部又は一部の支払につき,親事業者,下請事業者及び金融機関の間の約定に基づき,下請事業者が債権譲渡担保方式(下請事業者が,下請代金の額に相当する下請代金債権を担保として,金融機関から当該下請代金の額に相当する金銭の貸付けを受ける方式)又はファクタリング方式(下請事業者が,下請代金の額に相当する下請代金債権を金融機関に譲渡することにより,当該金融機関から当該下請代金の額に相当する金銭の支払を受ける方式)若しくは併存的債務引受方式(下請事業者が,下請代金の額に相当する下請代金債務を親事業者と共に負った金融機関から,当該下請代金の額に相当する金銭の支払を受ける方式)により金融機関から当該下請代金の額に相当する金銭の貸付け又は支払を受けることができることとする場合は,次に掲げる事項
 イ 当該金融機関の名称
 ロ 当該金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとする額
 ハ 当該下請代金債権又は当該下請代金債務の額に相当する金銭を当該金融機関に支払う期日
七 下請代金の全部又は一部の支払につき、親事業者及び下請事業者が電子記録債権(電子記録債権法(平成19年法律第102号)第2条第1項に規定する電子記録債権をいう。以下同じ。)の発生記録(電子記録債権法第15条に規定する発生記録をいう。)をし又は譲渡記録(電子記録債権法第17条に規定する譲渡記録をいう。)をする場合は、次に掲げる事項
 イ 当該電子記録債権の額
 ロ 電子記録債権法第16条第1項第2号に規定する当該電子記録債権の支払期日
 八 製造委託等に関し原材料等を親事業者から購入させる場合(=原材料等を有償支給する場合)は,その品名,数量,対価及び引渡しの期日並びに決済の期日及び方法