「5条書類」とは何か

 親事業者は発注段階においては「3条書面」の作成・交付が義務付けられていますが、発注後も取引記録に関する書類を取引終了時から2年間保存する必要があります。実務的にはこの書類のことを「5条書類」といいます。「5条書類」は「3条書面」とは異なり、単に保存するだけでは不十分であり、記載事項は多岐に呼びます。5条書類の記載事項は次のとおりです。

① 下請事業者の名称(番号,記号等による記載も可)
② 製造委託,修理委託,情報成果物作成委託又は役務提供委託をした日
③ 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は,役務の提供の内容)
④ 下請事業者の給付を受領する期日(役務提供委託の場合は,役務が提供される期日又は期間)
⑤ 下請事業者から受領した給付の内容及び給付を受領した日(役務提供委託の場合は,役務が提供された日又は期間)
⑥ 下請事業者の給付の内容(役務提供委託の場合は,提供される役務の内容)について,検査をした場合は,その検査を完了した日,検査の結果及び検査に合格しなかった給付の取扱い
⑦ 下請事業者の給付の内容について,変更又はやり直しをさせた場合は,その内容及び理由
⑧ 下請代金の額(下請代金の額として算定方法を記載した場合には,その後定まった下請代金の額を記載しなければならない。また,その算定方法に変更があった場合,変更後の算定方法,その変更後の算定方法により定まった下請代金の額及び変更した理由を記載しなければならない。)
⑨ 下請代金の支払期日
⑩ 下請代金の額に変更があった場合は,増減額及びその理由
⑪ 支払った下請代金の額,支払った日及び支払手段
⑫ 下請代金の全部又は一部の支払につき,手形を交付した場合は,その手形の金額,手形を交付した日及び手形の満期
⑬ 下請代金の全部又は一部の支払につき,一括決済方式で支払うこととした場合は,金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとした額及び期間の始期並びに親事業者が下請代金債権相当額又は下請代金債務相当額を金融機関へ支払った日
⑭ 下請代金の全部又は一部の支払につき,電子記録債権で支払うこととした場合は,電子記録債権の額,支払を受けることができることとした期間の始期及び電子記録債権の満期日
⑮ 原材料等を有償支給した場合は,その品名,数量,対価,引渡しの日,決済をした日及び決済方法
⑯ 下請代金の一部を支払い又は原材料等の対価の全部若しくは一部を控除した場合は,その後の下請代金の残額
⑰ 遅延利息を支払った場合は,遅延利息の額及び遅延利息を支払った日

なお、上記①、②、③、④、⑧、⑨は「3条書面」の記載事項と共通です。